『光州5・18』
[ストーリー]
1980年5月18日、韓国・光州市。この町で25000余名の戒厳軍が民主化を要求する学生、市民らと衝突した“光州事件”…タクシー運転手の青年ミヌは早くに両親を失い、たった一人の弟ジヌと暮らしていた。父親代わりでもあるミヌは、弟に格別の愛情を寄せていた。そして、ミヌが想いを寄せる看護師のシネ。彼女は母親を亡くし、父親フンスとの二人暮らしだった。彼らの平和な日常は、その日を境に突如として襲った嵐のような戦禍にまみえていく。ミヌは、ただその現実が夢であることを願った。軍の銃弾に倒れた弟のジヌ。かけがえのない愛と命が次々と犠牲になっていく。ミヌは、ただ愛するものを守りたい一心で戦いを挑んでいくのだが…。 ~映画紹介より~
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1980年、この年日本では山口百恵さんの結婚引退宣言でマスコミは賑わい、あの大貫さんが1億円の入ったバッグを拾ったことで世間は騒いでいましたね。大平首相が在任中に心筋梗塞で倒れられ亡くなったのもこの年でしたね。
私自身もまだ政治など一切関心がなくすぐ隣の国でこんな凄惨な事件が起きていたなんて知る由もなかったです。
『光州事件』と言う言葉と何か韓国で血なまぐさい事件がおこったということを聞いた覚えはあっても当時の自分には何の感覚もなかったはずです。
この映画ストーリーの設定は勿論創られたことではありますが少なくとも同じような体験を持つ方はいたことでしょう。あまりに酷くあまりに凄惨なこの事実を韓国の監督が手がけてメディアに送り出したと言う気概を高く評価したいと思います。監督自身のインタビューでも『埋もれていた事件の真実を国民に知らせ、自分も無知だったことを犠牲者の方々に懺悔(ざんげ)する映画を、いつか立派な監督になったら作りたいと思っていた。立派な監督にはまだなっていないが(笑)』と、仰っています。
このキム・ジフン監督は私の好きな映画『木浦は港だ』の監督さんなんですよね。詳しくはここで。でもかなり好みが分かれる作品ですけど・・・(笑)
もちろんこの映画の描き方に反感を覚える人も嫌悪感を覚える人もいると思いますがこのような出来事がまだ30年にも満たない前にあったということを知ると言う意味では多くの人に見てもらいたい作品と言えるのではないでしょうか。
前半の麗らかさと微笑ましさから一変していく事態には恐ろしさと哀しさと切なさと悔しさで涙が止まりませんでした。
『俺たちは暴徒じゃない!』と叫んだミヌの言葉や、市民軍が攻撃される前夜『私たちを忘れないでください』と拡声器を持って街中を回るシネの声にこの映画の心が見えるような気がしました。
ただこの映画の中で何故光州だったのか、何故一般市民がいきなり兵士に殴り殺されなければならなかったのかという説明や、当時の詳しい軍事政権などは説明されていないので前もって少し知識を持ってから見たほうがより一層理解できるかもしれませんね。
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コメント
あんにょにょにょにょにょ~ん!
キャサリンさん!
良かったぁ~って言っていいのか、、、すごく複雑な映画だったけど。。。すごく考えさせられるのと同時に、その悲惨な出来事の中にも”愛”が含まれているという、この演出がたまらなくボクのツボにはまっちゃったよぉ~!涙が涙が鼻水がぁ~!
ほんとうに悲惨な出来事だったんだね。。。でももっと隠された事件がたくさんあるんだろうな。。。なんだか切ないね。。。
投稿: あっしゅ | 2008/06/08 00:35
あっしゅさん、あんにょんにょーん!
本当に感動と言うにはあまりにも切なすぎる映画でしたね。日本が平和に慣れてしまっていたあの頃にあんな悲惨な出来事があったなんて…
心が痛みました。
あんな状況下での愛する者を守ろうとしたそれぞれの行動には私も涙が止まりませんでした。
投稿: キャサリン | 2008/06/08 19:49