『トンマッコルへようこそ』
【ストーリー】朝鮮戦争真最中のころ、トンマッコルの村に空から連合軍パイロットの男が飛行機と共に落ちてきた。同じ頃人民軍の兵士3名と韓国軍の兵士2名もそれぞれ森に迷い込みトンマッコルの村へと足を踏み入れていた。顔を合わせた兵士たちはまさに一触即発の状態であるのにも拘らず村人たちには微塵の危機感もなくただ平穏な時間を過ごしていた・・・
トンマッコル・・・純真とか純粋という意味の名を持つ村トンマッコル。いつしか兵士たちの心の中に不思議な感情が芽生え村人たちと共に送る生活に安らぎを覚え始める。
しかし現実の戦争の矛先は彼らがこの村にいることにより確実に近づきつつあった・・・
*******************************
チョン・ジェヨン、シン・ハギュンと来れば『ガン&トークス』を思い浮かべる方も多いと思いますが実はこの映画の原作、脚本を手がけているのはその『ガン・&トークス』の脚本、監督を務めたチャン・ジン氏なんです。 このところ「小さな恋のステップ」や「私の結婚遠征記」でちょっと情けないおじさんを演じていたのですがやっぱチョン・ジェヨンは「シルミド」やこの映画のように無骨な役の方がステキですね〜(私的には「ガン&トークス」の彼が一番好きです☆)
シン・ハギュンも「JSA」以来映画ではあまり好きな役柄を演じているものが日本で公開されていなくて、好きな俳優さんだけにすごく残念だったのですがこの映画では彼の無口で頑固で激情型ではあるが実はシャイで誠実という人間性がよく現れていました。
トンマッコルの象徴のような少女ヨイルを演じているカン・へジョンはピュアでとっても可愛かったです。「南極日誌」や「オールドボーイ」とはまた違う顔を魅せてくれています。
トンマッコルの村はあまりにも非現実的であるのですがそれはきっと人が忘れてきてしまったもの、そしてもう一度取り戻していかなければならないものなんだと私の心には響いてきました。
個人的な感情などかけらもなく国として、その国の軍人として敵国の人間に銃を向け命を奪ってきたそれぞれの兵士たち。心を開いて話してみればただ一人の人間同士。朝起きてご飯を食べ、働いてまたご飯を食べ、また働いて夜は楽しく酒を酌み交わす。ただそれだけの平穏な日々。「これが普通の生活なんだ」というスミスの言葉が心に残りました。
それぞれの兵士がお互いに親交を持ち、村人とも感情を合わせる事ができはじめた時に突きつけられる現実。
兵士たちの心に芽生えたのはただ『村人を守りたい』ということ。しかしその決断はあまりにも悲しい決断だった訳ですね。こういう形でしか守れなかったことはすごく理不尽で不条理で戦争の残酷さを見せ付けられるようで嫌だけど 、生きていることの大切さや楽しさ、仲間や友と呼べるような人間関係を取り戻させてくれた村の人々を守れたという満足感から顔を見合わせて微笑みながら消えていくあの笑顔はとても印象的でした。
音楽はジブリの映画でもお馴染みの久石 譲なので映画のあちこちでジブリ映画を見ているような感覚にとらわれます。画像の中でもそれは感じられます。『もののけ姫』の中に出てきた景色がそのまま現実化されたような綺麗な映像がいくつかありました。木霊たちに匹敵するのはこの映画では『蝶』ですね。とても幻想的に効果的に使われています。
あのポップコーンのシーンは終盤だと勝手に思っていましたが思いのほか早く出てきました(笑)
笑いと涙、韓国映画のお得意といってしまえば確かにそうですがそれだけでは言い切れない素敵な映画でした。
| 固定リンク
「韓国映画(た行)」カテゴリの記事
- 『カリスマ脱出記』(2008.06.20)
- 『台風太陽』(2007.09.13)
- 『とかげの可愛い嘘』(2007.05.04)
- 『天軍』(2007.03.08)
- 『どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるホン班長』(2006.12.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
キャサリンさん、こんにちは!
私も今日見てきました!
予想してたよりも、良い作品でした!
村の純粋であたたかな雰囲気と辛い現実とのギャップが
ラストの笑顔が印象的でした。
笑って、泣けましたね!
投稿: 青き星 | 2006/11/01 21:41
青き星さんこんばんわ!
コメントありがとうございます~♪
最初の方はおかしくてほのぼのしていましたが
ラストはいい終わりかただと解かってはいます
が淋しさもありました。
本当にシン・ハギュンのあの笑顔は印象的でし
たね~
投稿: キャサリン | 2006/11/01 23:21
キャサリンさんこんばんは。
私も今日見てきました!後半あんなに泣ける展開になるとは・・・
キャサリンさんのレビューうますぎです!
レビュー読んでピョ少佐の笑顔の写真見て、また泣きそうです(^^;)
ガン&トークスコンビの演技はよかったですね~。
最初は個人的な好みでチョン・ジェヨンばかりがかっこよく見えたけど(笑)シン・ハギュンもよかったわ~。
投稿: スーザン | 2006/11/02 17:30
おひさ、です。
トンマッコル、やっぱり
韓国人じゃないと理解できないところが
あるかなぁ。
私はグエムルのほうが
分かりやすくて好きです。
投稿: sayaka | 2006/11/02 21:19
スーザンさん、おはようございます!
本当に思ってた以上に泣かされる展開でしたが見終わった後に悲しさはあまり強く感じませんでしたね。
シン・ハギュンやっぱよいです!
sayakaさん、今頃はもう韓国でしょうか?
人民軍とか連合軍とか国軍とか日本人にはあまりピンと来ないものがあるのかもしれませんね。
韓国から帰ったらまた土産話楽しみにしてますからね~☆
投稿: キャサリン | 2006/11/03 09:08
はじめまして。TBありがとうございました。
私も観ている最中にジブリに似ている部分があるなあと感じました。後から監督がジブリ作品のファンだと知り、なるほどと思いましたよ。でもその物語的な幻想さが、トンマッコルの純粋無垢な心を引き立てていたように思います。現実にはありえない世界だけど、希望というか願いのこもった映画ですからね。
私もTBさせてもらいますね。また遊びにきます!
投稿: minoko | 2006/11/05 01:25
こんにちは。はじめまして。
遅くなりましたがTBありがとうございました。
私は実は韓国映画はちょっと苦手な部分もあるのですが、これは素晴らしかったです。
村の穏やかで暖かな暮らしを色鮮やかに描き、戦争の世界はダークな影の中で描き、そのコントラストも印象的でしたね。
あの爆弾の雨の中での最後の笑顔には涙が止まりませんでした。
私もTBさせてください。
投稿: 秋香 | 2006/11/06 18:14
秋香さんこんばんわ~♪
コメントありがとうございます。
静と動、愛と憎のコントラストがとてもうまく
まとまった映画だったと思います。
誰かのために笑いながら消えていくあのシーンは心打たれるものがありましたよね。
これを機会に苦手な韓国映画に興味を持ってもらえたら韓国映画ファンとしては嬉しいのですが・・
またお立ち寄りくださいませね。
投稿: キャサリン | 2006/11/07 00:31
minokoさん、コメントありがとうございます。
そうですね、監督さんがジブリ映画をお好きなことがよく判る気がしました。
映像や音楽がとても近いものがありましたからね。
確かに微笑みながら消えていく人たちの中に希望がこめられていて悲しいけれど暖かい映画でした。
またお立ち寄り下さい。
投稿: キャサリン | 2006/11/07 00:52
キャサリンさん こんばんは。
私も、やっとみました。
すっごく、良かったですね。
笑って笑って、最後の感動。
悲しい結末に泣いたけど、
ほんと、あとひかずで
とっても素敵なトンマッコルでした。
またまた、トラバさせてもらいました~。
投稿: | 2006/11/12 01:16