『力道山』
【ストーリー】
1945年。貧困の祖国を離れ、いい暮らしを夢見て相撲取りになるため、単身日本に渡ってきたシルラク。だがそこは先輩力士からの厳しい指導を耐え忍ぶ辛い日々が待っていた。そんなある日、力士のタニマチ菅野の世話で座敷に上がる芸者の綾と出会う。身寄りのないもの同士深い愛情で結ばれていく二人。心の支えを得たシルラクは、力士“力道山”となり関脇にまで登り詰める。順調に綱取りを目指す力道山であったが、そこには目に見えない民族の「壁」が存在していた…。
相撲界の頂点、横綱への夢半ばで引退した力道山。ある日、プロレスと運命的に出会った彼は、渡米しレスラーへと転身する。2年後には、日本で初のプロレス興行を成功させ、ヒーローとして日本中を熱狂させるが、その人生は徐々に狂い始めていく・・・・・
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ソンスンホンの映画『ホワイトクリスマス~恋しくて逢いたくて~』チェ・ミンシク、セシリア・チャンの『パイラン』を手がけたソン・ヘソン監督作品。
「力道山」というと戦後のテレビ史の映像でよく目にする街頭テレビに人が群がるように見ていた風景の中で映し出される映像ぐらいしかその存在を知らないが、今は亡き明治生まれの祖母や父がプロレス中継を夢中になって見ていたことを思い出すと彼や彼の確立したプロレスは間違いなくこの時代の象徴だったんだろうと思う。
アメリカに負けた日本人が容赦なくアメリカ人を投げ飛ばし、日本人の強さを誇示してくれた力道山は紛れもなくヒーローだったはず。
しかし彼は韓国人だった。そして数々の人種差別や迫害に近いことを受けていたのかもしれない。
この映画がどこまで事実に基づいているのかはわからないが、力を持てば持つ程人は孤独になり、ましてや韓国人であるということも明かせず、日本という国で時代の寵児となってしまった力道山は、華やかな世界に居れば居るほど孤独を感じていたにちがない。
力道山を知らない世代の人間が見てもそんなことを考えさせられる映画だった。
ソル・ギョングはこの映画のためにすごい肉体改造で本物のプロレスラーのような体つきと技を披露している。
その上セリフはほとんど日本語である。軍歌も歌っている。かなりの努力が必要だったと思う。発音も今まで耳にした韓国俳優の日本語の中で一番と言っていいほど聞こえがよかったように思える。
年配のプロレスファンの方はもちろん、力道山を知らない世代の人たちにも楽しめる作品になっていると思うがやはりどちらかといえば男性向きかも・・・
ほぼ一年前、40歳の若さでこの世を去ったプロレスラー『橋本真也』が東浪関役として出演しているのも見逃せない。
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